言葉の常備薬/呉 智英

4575297364 言葉の常備薬
呉 智英

双葉社 2004-10
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 文化放送の番組の中で紹介された本で、おもしろそうだったので、取り寄せて読んでみた。まえがきからして、かなり過激だった。産経新聞の校閲部長を「これでもか」というほどの攻撃ではじまっている。”校閲”部長なのに書いている文章が間違いだらけなのだったら、まぁ責められるのも仕方がないとは思うけど、あまりの扱き下ろしっぷりにかえって気の毒になってきた。普段何気なく使っている言葉を改めてその意味を考えさせてくれる。たとえば、惚気話や恋愛話を聞かされて「ごちそうさま」と言うシーンは、実際にはあまり聞くことはないけれど、まぁドラマなんかではよくあるが、なぜ惚気話や恋愛話を聞かされると「ごちそうさま」なのか?それは谷崎潤一郎の「蓼食う虫」という小説の一文にその理由があると。もともとは「ご馳走様。何を奢ってくださるの?」とごちそうさまのあとに「奢れ」と続くのだ。つまり惚気話や恋愛話を聞かされた一種の罰だったのだ。それがいつの間にやら「奢れ」の部分が省略され、奢られてもいないのに「ごちそうさま」となってしまった。背景がわかると楽しくなってくる。これ以外にも、「女が女性に向かって怒鳴った」と「女」と「女性」で意味は同じなのに使い分けられている話だとか、オサマ・ビンラディンに対して、氏をつけることに違和感を訴える意見が寄せられたものの、彼が法律的に容疑者になっていないし、なんの組織にも所属していないものだから、やむなく氏をつけていたなんていうのも、僕も以前から気になっていた話なので、同じような視点を持ってくれる人がいたことに少し嬉しかった。

(2004/12/18) 【★★★☆☆】 -04/12/14更新

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