自由学園明日館は、池袋駅のメトロポリタン口から5〜6分ほど歩いた、駅前の区画整理から一歩はずれたところにある。住宅地の間の細い路地を右へ左へと進んでいくとぱっと開けて、明日館が姿を現す。 喫茶付見学券600円を支払って内部へ。 解説によると、ライトは建設途中でアメリカに帰国してしまったそうで、正面に向かって右側の教室棟は、そのあとを引き継いだ遠藤新による設計なのだという。だから、設計はライドと遠藤新の共同の作品ということになるようだ。そのため左右の教室棟は、細かい部分で違いが見られるらしいが、あまりよくわからなかった。また右側の教室棟にある煙突は、左側で使用している暖炉の煙突と左右対称に見せるためのダミーとのこと。ちなみに遠藤新は、その後、明日館の向かい側にある講堂の設計を手掛けている。 手前の教室には、婦人之友社の歴史が展示されていた。この自由学園は婦人之友社の創始者である羽仁吉一・もと子夫妻によって、理想の教育像を現実のものとするためにつくられたもので、いまでも明日館の前の道をはさんだところに、婦人之友社の本社がある。縁とは不思議なもので、この羽仁夫妻の友人であった遠藤新が、たまたま帝国ホテルの設計のために来日していたライトに設計を依頼して、建てられたのがこの明日館なのだという。日本でライトが設計した建物はわずか数件で、現存しそのまま利用されているのは、わずかに二件であり、そのうちの一件がこの明日館とのこと。 以前はこの地下に調理場があって、それを真上の食堂に運べるような造りになっていたそうだが、現在では調理場はこの建物の隣に移った。この移った調理場も見学させてもらったが、こちらは最新の厨房機器が用意されている。また館内は冷暖房完備だし、トイレも利用しやすく改造されているが、これはこの明日館の目指す、文化財建築の「動態保存」という目標に沿ったものなのだそうだ。これによって文化財だから、古くて使いにくいのは仕方がないというのではなく、もっと文化財建築を有効に使いながら保存するということが可能になったというわけだ。見るだけの文化財ではなくて、使える文化財…難しい部分もあるだろうが、全国に広がって欲しい施策だ。 一階のホールでは、喫茶サービスがある。「喫茶付見学券」を係の人に渡すと、コーヒーか紅茶が選べて、パウンドケーキが付いてくる。とても落ち着いた雰囲気で味わうコーヒーはとても美味しかった。 |
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建築マップ 自由学園明日館 最終更新日:2005年4月24日 作成日:2004年11月23日 作成者:ろん |